2017.04.27
「昔の演劇に比べて質が落ちていることは絶対にない」壱劇屋・大熊隆太郎×匿名劇壇・福谷圭祐トップ対談(後)

今は、更地になった関西小劇場界の土壌をもう一度つくり直しているところ。

先程福谷さんは、劇団で食べていくのはナシにしようとお話しされていました。まだ20代でその結論はちょっと早いというか、現実的だなあと思うのですが。

実際難しいですからね、劇団活動で食べていくって。壱劇屋さんみたいなことをしようと思ったらめっちゃ大変なんですよ。いろんなことを捨ててると思う、わからないけど。

まあそうね。もちろん劇団で食べられたら嬉しいなとは思っているけど、現実的は何かすごい改革が起きない限り無理に等しい話。結局は個人の能力次第よね。だから、うちも客演の話が来たら、そっちを優先していいっていつも言うてる。

そうなんや。意外。

本公演のときも毎回、出るか出ないかっていうのは確認してるし。

あ、そうは見えなかった。じゃあ、僕の勘違いです。最終目標は宝塚みたいに劇団で食べていくことなんですよね?

今のままでは、それが達成できるのは天文学的確率やけどね。単純にチケットとグッズ収入だけでは、常設劇場でもない限り非現実的。何かやり方を考えんとなあと言いつつ、まだ何も具体的なことはできていないです。

ここで改めて関西小劇場の現状を聞いてみたいのですが、プレイヤーとして現場にいらっしゃるおふたりから見て盛り上がりは感じますか?

難しいですね。もともと90年代あたりに新感線とかピスタチオとか、すごく人気の劇団が関西にあって。僕が小劇場を観るようになりはじめたのは、それからもう少し後のこと。ピースピットとか売込隊ビームとか、そのあたりが盛り上がっている時期に僕は客席にいて。でもそういう先輩劇団が軒並み活動をしなくなって、一度関西小劇場は更地になったような感覚があるんですよ。
そこに僕であったり福谷くんであったり、その他のいろんな劇団の方たちが現れて、今はまたイチから土壌をつくり直している時期。正直に言えば当たり外れも多いし、少ないパイを取り合うほど観るべき団体がいないのも事実だとは思います。

盛り上がりは感じません。だって、世の中の人、誰も演劇なんて興味ないでしょ? それに関西小劇場はって話ですけど、じゃあ関東の小劇場界が盛り上がっているのかと言われたら、それも疑わしいところやなと思ってますし。
僕自身、もともと演劇に興味があったわけではなくて、ラーメンズが好きでコントがやりたいと思ったのが出発点。そこからコントより演劇の方がいろいろできることがあると思ったから演劇を選んだだけであって。もともと小劇場に通っていたわけではないので、大熊さんが言ってるような更地になった感覚もないです。
小劇場界を盛り上げようということに、僕は興味がない。

界隈を盛り上げようという使命感はありますか?

僕はありますね。
僕は小劇場を面白いと思っているので。匿名劇壇もそうやし、あとはがっかりアバターとか。それこそさっき名前を挙げたような今は一線で活動をしていない団体も含めて、いろいろ面白い劇団を観てきた。せっかくこんな面白いことをやっている団体があるのに、それを一部の人だけの高尚な趣味にしておくのはもったいないという気持ちはあります。

僕はないですね。
そこはもう神のみぞ知る世界というか、僕たちだけの力では無理やし、そもそも盛り上げること自体にもあまり興味がない。たとえば世の中にいろんなマイナースポーツがありますけど、どんな人気のないスポーツでもそこに一定のお客さんはいて、そのお客さんたちはちゃんとそれを面白いと思って白熱しているとは思うんですよ。でも、じゃあそれが国民的になり得るかと言われたら、それはもう選手がどうこうできる問題じゃないですしね。

スポーツの例で言えば、ラグビーは現時点でブームが継続しているかは疑問ですが、15年のW杯の健闘を機に脚光があたりましたし、フィギュアスケートなんかはこの10年余りで人気スポーツのひとつになった感はあります。

あれは選手の努力でどうこうなるところなんですかね。

フィギュアスケートに関して言えば、スター選手の存在は大きいと思います。

やっぱりオリンピックがあるから?

そうでしょうね。わかりやすく結果が出るものには注目が集まりやすいと思います。

もちろん注目が集まったらええなとは思うんですけど。そこを考えるために必要なのって、作品をつくることとはまったく別の、大きく言うと企画枠みたいなところの能力だと思うんですよね。僕はそこに興味がない。それに力を費やすなら、もっと別のことを考えたいなというタイプなんです。

すごくありきたりな言い方になってしまって恐縮なのですが、もっと面白い作品をつくりたいとか?

そうですね。面白い作品をつくっていれば、もしかしたらそれだけでいいのかもしれない。確かに、現状、お客さんは少ないのは間違いないですけど、それを増やすための作戦を練るのは選手ではないと思うんです。選手は、いい試合をする。その勝ち負けに価値を付けるのは、有名スポーツ選手じゃなくて、無名のビジネスマンだと思うんです。その無名のビジネスマンの役割を、僕は担わず、完全に人任せにするという話なんですが…。

僕、2015年に、『MASHUP PROJECT』っていう関西小劇場の先輩方の過去作品を自分たちでマッシュアップ上演するというリスペクト企画をやったんですよ。それは、関西小劇場を昔から知っている演劇ファンに向けた企画だったんですけど、正直、動員はどんどん減ってしまって。そのとき、限界を思い知らされたというか、演劇ファンだけを狙っても先細りしていくのは目に見えているなと痛感させられました。
だったら、それよりもまだ演劇を観たことのない人に向けて何か面白い企画を立てていく方が、自分たちの気質にも合っているなって思ったんですよ。僕は『ギア-GEAR-』に出させていただいていますが、そこから間口を広げたいという想いがあります。あそこを入口に僕たちのことを知って、そして他の劇場に連れてくることができたらと思いながらやっています。
まあ、でも福谷くんの言っていることの方がある種健全やなとは思いますけど。

どこがですか? めちゃくちゃ不健全な気がしますけど。

だって、やっぱり今言ってることってアーティストとしての仕事ではないやん。

ああ。アーティストであることを諦めていないという意味で?

そうそう。本当はきちんとした企画屋の方がいて。その人たちが作品を売り出してくれるのがあるべき姿。でも、現実はそうではないので。だったら僕たちはもう企画屋の道を突き進んでいこうと開き直ったところがある。福谷くんを羨ましいと思うのは、そういうところがあるからかもしれないですね。

僕は大熊さんの話を聞いていて、自分自身で諦めているなと思うところをひとつ見つけて。
演劇って見慣れていない人に見せても面白くないんじゃないの、と思うことがあって。やっぱり勉強の必要な芸術だとは思うんです。チャンネルをピロっとつけて楽しめるような気軽さは絶対にない。「芝居」が気軽だった時代もあったけど、もっともっと気楽で手軽で誰でもなエンターテイメントがあふれてる。そこに、演劇は敵わないと思う。というより、そこで戦ってはいけないと思う。間口を広げたって仕方ないやろと、どこかで思っていますね。

間口を広げる役目は自分ではない?

はい。やらないって決めました。演劇界の盛衰については興味がない。もちろん、商売をやっている人が分析して頑張ってくれたらいいなとは思います。表現することと商売のことを並列に考えられる人はいるけれど、やっぱりレアケース。憧れはしますけど、僕はそうじゃないんで諦めるという話です。それができたらいいけど、それをめざすと多分失敗する。それこそ、表現が「お客さんを集めるために」という角度にぶれてしまう可能性がある。だからやらない。

難しいところが、そうやって福谷くんみたいに純粋に表現したい人の演劇は面白いんですよ。作品をつくることに対しての執念があるから。一方で、小劇場の中には売れたいとか有名になりたいとか、そういう動機でやっている人も少なからずいて。僕らはそういう人たちと組んで何か企画を起こしていけばいいんですけど、残念ながらそういう人たちのつくる演劇は、確率的に言って面白くないんですよ。だから残らないし、全体で何かをしていくのが難しい。

究極的には時代の運ですよ。大言壮語ですが、小劇場全盛の時代に生まれてたら僕もその時流に乗れてたんじゃねえの?と思う夜だってあります。時代の問題だ、社会のせいだ、と思っています(笑)。
敢えて大阪で活動する方が、マーケティング的に価値はある。

大熊さんは率先して間口をどんどん広げていこうとお考えなんですよね。

理想論としては、演劇を知らない人と演劇をつなぐパイプになりたい気持ちはあります。と言っても、僕らのキャパシティではできることに限りがあるから、今は毎月頭打ちですけどね(笑)。毎月劇団会議をやっていても痛感しますよ。同世代の社会人がやっている仕事のレベルを考えたら、僕らのやっていることなんておままごとみたいに見えなくもない。そのレベルを突破することが、まずは大事。そこから何か活路が見えそうな予感はしますね。


手ごたえはありますね。いちばん顕著なのが、この人らは一体どこからやってきたのかというお客さんが増えたこと。

いずれ東京へ拠点を移すことは考えていますか?

東京に行った方がみんなメシを食べやすくなるとは思います。特に俳優は東京に行ってメディアに出ないとゴハンを食べにくいので、そういう意味では劇団を抱えている以上、彼らを東京に送り出さないと、彼らの未来がないじゃないかとは思う。僕としては表現する場所はどこであっても一緒なので何でもいいですね。大阪に居続けているのも、単に東京に行くタイミングもお金もないので行けないっていうだけの話なんで。

ほんならタイミングとお金があったら行くんや?

行きますよ。明日100万もらえたら、明日行きます。

僕は隙間産業というか、関西の方が競合も少ない分、独占市場にもなり得る場所だと思っているんですよね。東京は、ひとつひとつの畑はめちゃくちゃいいんですけど、もう土地がないイメージ。だったら、向こうに行って埋もれるより、こっちで荒れ地を耕し直す方がいいなって。最近はインフラもツールも発達して、東西の距離も近くなったし。敢えて大阪で活動している方がマーケティング的にも価値があるんじゃないかと踏んでいます。

クリエイターとしての展望は?

わかりやすい活路で言えば、脚本書きはテレビの脚本を、演出家は2.5次元をやるのが最近の流れなのかなとは思ってます。僕はお話さえいただけるなら2.5次元も何でもやりたいです。

僕、大熊さんがそっちに行くと、めっちゃヘコみます。

まじで?

売れ線の人やってなってしまうから(笑)。

上等ですよ。まだまだ2.5次元もやってない題材とかあると思うんで、自分で演出してみたいですね。

劇団としての理想のゴールは?

そこはまた難しいところで。この間、ある制作の方と劇団のゴールはどこかって話をしたときも、暗い感じで終わったんですよね(笑)。たとえば、いわゆる超メジャーな劇団を見ても、上の人たちは芝居でメシが食べられていても、下の若い子たちはバイトをしながら生活しているのが現実。一方で、大衆演劇みたいに休演日は月2回、それで6000人動員して、ご祝儀をもらって、20人くらいの劇団員を養っているという世界もある。何がいいかと言われても、なかなか答えは出ないですよね。

僕は、商業的なこととか一切関係なしに、自分のやりたいことがやれていればいいので、言ってしまえば今がもうすでにゴールです。

でもそれで福谷くんが残ったとしても、周りの俳優はずっとそうではいられないというか、大半はどこかで破綻するやん? 道をどうしようって悩んだりするやん? 言い方は悪いけど、どこかのタイミングで切ることを選択せざるを得なくなるときが来る。

そうですね。

僕の場合は、劇団員はファミリーやと思っているから、それがとても悲しいんですよね。辞めたいと言われたら、それは受け入れるしかないんですけど、心の中ではやっぱりね。

劇団員にもそれぞれの生活がありますからね。「この劇団の表現は好きやけど、生活をしていくためには、これ以上俳優は続けられない」と言われたらもうそれは僕には止められないです。それこそ、「テレビ俳優を目指すために劇団は辞めます」と言われたら、少し寂しい気持ちはありますけど、主宰として喜んで送り出すしかないですよね。

劇団員と普通の俳優で違ってくるのは、劇団員の場合、俳優以外の仕事も劇団の仕事としてやってもらってるからね。やっぱりその分、主宰としての責任もあるし、想いもある。だから、劇団員が卒団するたび、僕の気持ちは複雑です。まあ、結局は僕がただ寂しいっていうだけなのかもしれないですけど。

じゃあ旅行に行ったらいいのに(笑)。

それはいい(笑)。何でこんなに嫌なんやろ…。逆にビジネスパートナーとしてとらえているのかな。

往々としてそうかもしれないです。僕は旅行行くんで(笑)。

打ち上げもそない好きじゃないんです。

僕は超好きです(笑)。

えー。何でなんやろ…(苦笑)。
若手が伸びていくためにも、大阪にはもっと賞レースが必要。

抜本的な解決策が見えにくい現状ではありますが、業界や他団体に向けて提言したいことはありますか?

まずは宣伝せよ、ですよね。もちろんそれぞれされているとは思うんですけど、僕の目から見ても全然足りない。今の5倍宣伝した方がいいと思う。Twitterに公演情報を載せて終わりじゃダメ。いろんなところに挨拶まわりしなきゃいけないし、チケットの発売日までにチラシもDMもつくっておくとか、当たり前のことをちゃんとやらないと。また公演したいっていう気持ちだけで場当たり的に数を重ねるだけじゃ、いつまで経っても規模は広がらない。ちゃんと適切な手順を踏むだけで土台は増えていく。もし興味あるなら、僕ら程度のノウハウで良ければどんどん共有していきたい気持ちもあります。

僕は、お金を持っているところがもっと賞をつくれって思いますね。関西で言えば、冒頭でお話ししたスペドラが終わるんですよ。スペドラは優秀団体には翌年無料で1本公演を打たせてくれて。こういう賞レースや支援制度がないと若手はスタートダッシュがしんどいんですよ。匿名劇壇の場合、いろんな賞のおかげで上手いこと軌道に乗せてもらったところがあるので、もっとお金を持っているところがやってくれたらええなと思います。

劇場がしてくれるといいんやけど、劇場も金ないしな。最近の例で言えば、ABC(朝日放送)主催の『才能発掘ABC E!プロジェクト』は良かったと思う。優秀賞に選ばれた脚本がドラマ化されて、その中から最優秀作品には賞金300万円とABCホールで公演が打てるっていう。

あんなん刺激になりますよね。

他局もやらへんかな、関テレとか。

何か目指そうという目標がないと創作活動はやっぱりしんどい。賞があると、そこに向かって頑張れるけど、特に何もないと、僕みたいな表現ができればいいっていう有象無象が現れて、大した宣伝もせずワサワサする時代が来るわけですよ(笑)。

確かにうちもご多分に漏れず賞に助けられて、ここまで来たんで。もっとそういうものが増えるといいな。

あと、この場を借りて言いたいんですけど、よく昔の演劇と比べて今の演劇は作品の質が落ちていると言う人がいるんですけど、それは絶対にないと断言したい。まあ、僕も上の人のを生では見ていないんで適当ですけど(笑)。

まあ、得てしてそういうものよね。僕はNBAが大好きなんで、バスケで例えて申し訳ないですけど(笑)、昔からNBAを見ている人と最近見始めた人では、やっぱり違うんですよね。古参ファンの中には昔のバスケの方がフィジカルでタフやったと言いはる人が少なからずいる。でも今は今のルールとシステムとトレンドの中でやってて、昔と比べるものでもないし、今は今のNBAで熱狂している人たちもたくさんいる。演劇やバスケに限らずどの業界においても昔の方が良かったという発言は、自分の原体験を大事になさっているだけなんやろうとは思う。

僕から見れば、そんなん時代やし、運ゲーでしかないと思う。僕らは僕らでちゃんと面白いものをつくっているんで、ちゃんと見てもらえたらなとは思います。
「元気がない」という一部の声をよそに、気炎を吐く関西小劇場界のWエース。その現在地を確認できるのが、5月からスタートするツアー公演だ。ビギナーから演劇ファン、さらには評論家をも巻き込み、躍進を遂げる両劇団の真価とは。ぜひ自らの目で確かめてほしい。

[STORY]
男は一枚のチラシを拾った。
サラリーマンの絵が描かれたチラシだ。
目が赤く髪はボサボサ。
無数のカードを差し出されている。
「会社と家を往復する毎日。
掃除して洗濯して日が暮れる。
義務だから向かう学校。
このような生活からの変更を申し込まれる場合は、生活課へご相談ください。」
男はこの奇妙なチラシに導かれ市役所に。
たらい回しをこれでもかと受け、
男は役所の奥深くへ。
そこには無数のカードを差し出してくる職員たちが。
いつの間にか男の目は赤く、髪はボサボサになっていた。

[STORY]
ここは落下する飛行船。
上空1000000000kmで、ついに故障した飛行船。
地面に到着するまでが、あと七日間の飛行船。
四人の女と四人の男。
何をして過ごそうか。
プロフィール

- 大熊 隆太郎(おおくま・りゅうたろう)
1986年7月28日生まれ。大阪府出身。劇団壱劇屋主宰。演出家、振付家、俳優。NBA好き演劇人。主宰として『SQUARE AREA』『回想電車999』など多くの本公演の作・演出を手がける一方、いいむろなおき氏、小野寺修二氏からマイムのスキルを学び、海外公演にも多数参加。京都でロングラン上演中であるノンバーバルパフォーマンス『ギア-GEAR-』にもレギュラー出演している。CoRich舞台芸術まつり!2016 演技賞。

- 壱劇屋(いちげきや)
枚方を拠点に活動する劇団。高校演劇全国大会出場メンバーで2008年に活動開始。「世にも奇妙なエンターテイメント」と称し、マイムを利用した演出と日常に不条理を加えていく物語で、観客を不思議な世界へ導く。マニアックかつ大衆的なスタイルで多くの観客から支持を獲得している。また類を見ないほどのサービス精神を持ち、劇場の外でも活発に活動している。應典院舞台芸術祭 space×drama2012 優秀劇団、第26回 池袋演劇祭 豊島区観光協会賞、グリーンフェスタ2015 BASE THEATE賞、CoRich舞台芸術まつり!2016春 最多クチコミ賞、CoRich舞台芸術アワード!2016第一位。

- 福谷 圭祐(ふくたに・けいすけ)
1990年7月28日生まれ。大阪府出身。2009年4月に近畿大学文芸学部芸術学科に入学。舞台芸術を専攻し、演劇を学び始める。2011年、匿名劇壇を結成。以後、匿名劇壇の全ての作品の作・演出を担当する。自劇団以外での活動も行っており、劇団Patch『森ノ宮演出家殺人事件』(作・演出)や、futurismo『珈琲が冷めるまでの戦争』(作・演出)などがある。また、俳優としての評価も高く、iaku『エダニク』、突撃金魚『僕のヘビ母さん』など出演作多数。

- 匿名劇壇(とくめいげきだん)
2011年5月、近畿大学文芸学部芸術学科舞台芸術専攻の学生らで結成。学内にて「HYBRID ITEM」を上演。 卒業後も継続的に大阪で活動。現在の劇団員は10名。 作風はコメディでもコントでもなく、ジョーク。自分たちの身近にある出来事を、自分たちをモデルにしたキャラクターを登場させながら、自己言及的な台詞を吐かせつつ、客観的でスマートなエンターテイメント作品に仕立て上げる。 ポストドラマ的な表現方法を取りながらも、非常に分かりやすい作品になっていることが特徴。疾走感のある演出で、共感のしやすい物語を、メタフィクション的な多重構造で描く。同世代から強い支持を受けている。と思っている。
劇団員を「ファミリー」と語り、宝塚歌劇団のような組織体を目指す劇団壱劇屋主宰・大熊隆太郎と、劇団員を「手札」と言い切り、劇団で生計を立てることは放棄したと宣言する匿名劇壇主宰・福谷圭祐。正反対の劇団観を持つふたりは、この先、劇団の代表者として、いちクリエイターとして、どのように舵をとっていくのか。関西小劇場界が誇る若手ツートップの視線の先を追いかける。