新着記事一覧
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いつ演劇を辞めてもいいと思っている。35歳・イクメン俳優の現在地。【おぼんろ 高橋倫平】
小劇場の役者にとって、生活との両立はデリケートな問題だ。好きなお芝居だけではなかなか食べていけない。年齢を重ねるごとに、社会で順調にステップアップしていく同世代との差に、焦りや戸惑いを覚えることもあるだろう。結婚や出産なんて自分とは関係のないどこか別の国の話に思えてしまうこともあるかもしれない。だが、劇団おぼんろの俳優・高橋倫平は、今や2児の父である。世空と...2016.08.25
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ただ笑わせたくて舞台に立った。生粋のコメディ俳優が行き着いた、演劇をめぐる旅の始まり。【アガリスクエンターテイメント 塩原俊之】
Twitterのプロフィール欄の肩書きは、「コメディ俳優」。単なる「俳優」ではなく、頭に「コメディ」をつけずにはいられなかった。そこに、この男の矜持がある。塩原俊之。シチュエーションコメディを得意とするアガリスクエンターテイメントの最年長であり、多くの作品で主要な役を務める看板俳優だ。目尻の笑いじわが、その印象をぐっと柔らかいものにする。語り口にも棘がなく、...2016.08.25
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泥沼の中に棲む怪物になりたい。毎月、小劇場に立ち続ける実力派俳優の未来への宣言。【X-QUEST 塩崎こうせい】
小劇場のラインナップに目を通していると、毎月のようにその名を見かける。15年の出演本数は年間13本。塩崎こうせいは近年最もハイペースで舞台に立ち続けている小劇場俳優のひとりと言えるだろう。男らしいワイルドな風貌にファンも多いが、本人は至って謙虚。自分のことを語ると、照れ臭そうに笑うシャイな一面も持ち合わせる。だが、その芯にあるのは、決してブレることのない無骨...2016.08.25
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ようやく火がついてきた気がする。成長劇団の一員が見せた密やかな変化と決意。【子供鉅人 億なつき】
彼女は、とてもピースフルな女性だった。イントネーションこそ関西弁そのものだが、話すテンポはスローリー。関西人特有のまくし立てるようなせわしなさは、まったく感じさせない。ふふふ、と笑い、答えに困れば「わからないです」とあっけらかんと返す。この街のスピードやルールにまるで縛られない、どこか別の次元で生きているような印象を受けた。彼女の名前は、億なつき。劇団子供鉅...2016.08.25