観劇マナー講座

劇場は、不特定多数の人が空間と時間を共有する場所です。ある一部の方や行為や態度が、せっかくの作品を台無しにしてしまうことも…。大切なのは、「これをしたら他の人の迷惑にならないかな?」という気配りと想像力。みんなでマナーを守って、気持ち良く作品を楽しみましょう。(文:横川良明/イラスト:やまぐち)

  • Q. チケットはどこで買えばいい?

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    劇団HPやプレイガイドからwebで簡単に予約・購入できます

    小劇場のチケットは、各劇団のイベント等で対面販売される場合もありますが、おおむねはweb(劇団公式HP、またはぴあ、イープラス、ローソンチケット、カンフェティなど各種プレイガイド)での販売となります。

    販売形式については大きく分けて「前売」と「当日」の2種類があります。

    「前売」とは、本番前日までに事前予約・購入をすること。大半の公演では、「前売」の方が「当日」より安価で販売されています。最近ではいろんな特典がつくことも。予定の立てやすい方は「前売」の方がお得と言えるでしょう。

    一方、「当日」とは当日劇場にてチケットを購入すること。小劇場の場合、客席が決して多くありませんので、当日券の枚数は若干数になることが多いです。確実に入手したい場合は、開演直前に来場するのではなく、受付・開場時刻の前には劇場に到着されることをお勧めします。

    <知っておこう>「事前精算」と「当日精算」の違いについて

    少しややこしいのですが、小劇場の世界では「前売」の中にも「事前精算」と「当日精算」の2種類があります。

    「事前精算」の場合、クレジットカードまたはコンビニ振込などによって、本番までの間に先にチケット料金を支払い、チケットを発券した上で劇場に向かいます。

    こうした「事前精算」を利用するときに登場するのが、上でご紹介した各種プレイガイドです。ぴあ、イープラス、ローソンチケット、カンフェティなど様々ありますが、これらのサイトに希望の劇団のチケット販売ページがありますので、そちらからチケットを購入してください。また、「事前精算」の場合はコンビニ等でチケットを発券するパターンがほとんどです。必ず発券をしてから劇場に行くということをお忘れなく。

    ※劇団によっては、事前精算の場合は入金確認後、チケットを直接自宅まで郵送してくれるところもあります。詳しくは各劇団の案内をご確認ください。

    一方、「当日精算」とは、当日、直接劇場でチケット料金を支払うというものです。この場合、チケットは手元にありませんので、当日、窓口に並んで料金を支払い、その場でチケットを受け取ってください。

    この「当日精算」は当日までチケット料金を支払うことはありませんが、劇団はあなたが予約した分の席を用意しています。ですから、絶対に当日無断キャンセルはNG! 劇団が売上を損じるだけでなく、観たかった別の人が観れないということもあります。万が一、当日、体調が悪くなったり、どうしても外せない急用ができたときは、すぐに劇団まで連絡するようにしてください。

  • Q. 当日出かける前に気をつけておいた方がいいことは?

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    チケットについて

    事前精算の場合、チケットをお忘れなく。もしこれから発券するという人は、なるべく早めにコンビニ等に寄るように心がけましょう。

    髪型について

    客席は後方の人も見やすいように高低差をつけていますが、席によっては前の人の頭が視界を遮ってしまうことも多々。後ろの人が見えやすいように、お団子や過度なアップヘア、盛り髪といった髪型は避けましょう。

    服装について

    劇場によっては空調が効きすぎる、または効いていないということも。暑さや寒さの気になる人はカーティガンやパーカーなど着脱によって温度調節ができる恰好をお勧めします。
    それほど数は多くありませんが、一部の劇場では靴を脱がなればいけないケースもあります。そのため、ブーツは避けておいた方が吉。中には舞台を挟んで観客が向き合う対面座席形式や、直接座布団に座る桟敷席というパターンも。この場合、あまりスカートが短いと本人も周りも少し気になってしまいます。何か隠せる羽織りものを用意するか、長めのスカートもしくはパンツスタイルの方が安心して観劇を楽しめます。

    手荷物について

    荷物についても、客席は残念ながら決して広々とは言えませんので、可能な限りかさばらないようにした方が◎。ただし、劇場に行くと大量のチラシを受け取ります。これを持ち帰りたい人はあらかじめA4サイズの紙が入る程度の鞄は用意しておくと困りません。
    遠方から観劇される方は、キャリーケースなどをお持ちの場合もあると思います。事前に劇団に手荷物を預かってもらえる場所があるか確認しておくといいでしょう。もし難しいようでしたら周辺のコインロッカー等をご利用ください。

    匂いについて

    小劇場はその名の通り小さな劇場のため、観客同士が密着した状態で観劇をします。あまり強い香水を使うと、他の人の迷惑になってしまうので避けましょう。また、周りの匂いが気になる方はマスクを持参するといいですよ。

  • Q. 劇場に着くまでに気をつけた方がいいことは?

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    到着時刻について

    初めて行く劇場は、つい道に迷ってしまいがち。開演後は、演出の都合上、しばらく入場ができないケースも多々あります。余裕をもって劇場に着くように心がけましょう。
    小劇場の場合、一般的に、開演時刻の30分前に開場します。自由席なら先着順に好きな座席を選べます。客席にこだわりがある人は、早めに行った方が好みの席を確保できる可能性もアップ。また、お友達と一緒に行く場合、直前に到着すると席が離れ離れになることも。目安としては遅くとも開演時刻の10分前くらいに到着すると落ち着いて観劇ができますよ。

    お手洗いについて

    小劇場の場合、中にはお手洗いが男女共用で1ヶ所だけというケースも。また、複数のトイレが設置されているケースでも、やはり女子トイレの方が混み合います。気になる人は、劇場に着くまでにすませておくとスムーズですよ。

    急なトラブルについて

    もしも遅れそう!というときは必ず劇団側に連絡をしましょう。大抵の場合、予約確認のメールに担当の電話番号やメールアドレスが載っています。もちろん行けなくなった場合も必ず連絡してくださいね。

  • Q. 上演が始まるまでに気をつけておいた方がいいことは?

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    携帯電話について

    上演中、携帯電話が鳴ってしまったら、せっかくの舞台の雰囲気が台無し。周りの観客にも迷惑をかけてしまいます。必ず劇場に着いたら携帯電話やスマートフォン、音の出る電子機器類は電源を切りましょう。
    マナーモードなら大丈夫と思う人もいるかもしれませんが、振動や光は周りの人に十分伝わります。必ず電源から切るように徹底してください。

    飲食について

    劇団側からの許可がない限り、客席内は飲食禁止です。もし小腹が空いたという人は、ロビーで軽食をすませた上でご着席ください。

    お手洗いについて

    特に小劇場の場合、上演が始まると、客席が混み合っていますのでなかなか席を立つことはできません。気になる方は上演前にすませておきましょう。

    帽子について

    帽子のつばや飾りは、後ろの人の視界を遮る可能性があります。そのため、客席では帽子は脱ぎましょう。髪型が気になるという人もいるかもしれませんが、舞台が始まれば客席は真っ暗になるので心配する必要はありません。

  • Q. 上演中、気をつけた方がいいことは?

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    携帯電話について

    重ね重ねになりますが、携帯電話は使用禁止です。上演中、時計代わりに携帯電話をチェックするのも絶対にNG。みんなで気持ち良くひとつの作品を楽しむためにも、客席に座ったら携帯電話の電源は切って、そのまま鞄にしまっておきましょう。

    お喋りについて

    どれだけ小声で喋っているつもりでも周りの人には気になってしまうもの。笑ったり泣いたり、というのはもちろん構いませんが、独り言や友人とのお喋りは控えましょう。

    録音・録画・撮影について

    無断での録音・録画・撮影はNG()です。団体によっては、上演が始まるまでは写真撮影OKや、上演後、カーテンコールの間は撮影OKなど、独自のルールを設けているところもありますが、案内がない限りは絶対にやめましょう。

    ※掲載当初、不正確な記述がありました。お詫びして訂正いたします。(2016.08.27)

    観劇中の姿勢について

    集中していると、ついうっかり姿勢が前のめりになってしまうことも。ただし、そうすると後ろの観客の視界があなたの頭で遮られてしまいます。また、横にいる人の視界を遮ってしまうことも。前のめりにならないよう、座席に深く座って観劇しましょう。
    前方の客席を蹴るのも絶対にNG。つい足を組む癖のある人は、特に注意してください。

  • Q. 上演後、気をつけた方がいいことは?

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    アンケートについて

    多くの劇団では、チラシの束と一緒にアンケートを用意しています。感想を直接劇団に届けたい方は、ぜひアンケートにご記入ください。アンケートは自分の思ったことをそのまま素直に書いてもらえればOK。もちろんネガティブな意見でも遠慮する必要はありません。観客の率直な声が、その劇団の今後の活動の糧になるのです。

    感想について

    観た舞台がどんなにつまらなかったとしても、劇場内で露骨に悪口を言うのは控えましょう。自分の好みでなかったとしても、その作品が大好きだったという人はいます。その人の感動や余韻を奪う権利は誰にもありません。もし愚痴や批評が言いたいときは、場を移して思う存分にどうぞ。

    面会について

    小劇場独自の風習として、上演後の面会というものがあります。ロビーや劇場表、あるいは客席に役者が挨拶にやってきますので、声をかけたい役者がいたら遠慮なく話しかけてください。基本的には面識がなくてもオッケー。直接感想を役者に届けてください。 ただし、他にも役者と話したい人はたくさんいます。他のファンのみなさんのためにも、あまり長話になりすぎないように心がけたいですね。

    手紙やプレゼントについて

    原則的にはどの劇団でも受付をしています。上演後の面会で直接手渡し可のケースもあれば、事前にスタッフに預けるところも。入場の際にその場にいるスタッフに確認の上、指示に従ってください。